突然だけど、君はTwitterで何をつぶやいてるだろうか?
日々思ったこととか、どこに行ったとか、ライブの宣伝とかそんな感じかな?
Twitterは諸刃の剣だ。
もしかしたら、たった一言でファンをガッカリさせてるかもしれないし、逆に強く心を掴んでるかもしれない。Twitterは使い方次第で武器にもなるし、自分を傷付ける道具にもなる。何も知らずに使うと痛い目に合う。
今回、僕がバンドをやっていた頃に体験した1つのエピソードを元に、Twitterの使い方について話そうと思う。
あの頃も今もTwitterの本質は何も変わってないから、君がもしバンドマンなら参考になるんじゃないかなと思って。是非、ここからファンの心をグッと掴むヒントを見つけて欲しい。
目次
なぜ興味の無かったバンドを一瞬で好きになってしまったのか?
「クリープハイプ、 Twitter見てたら好きになったわ」
これは、数年前にROCKS TOKYOというフェスに向かう途中で僕の友達が言った言葉。これに僕はハッとなった。なぜなら、全く同じことを感じていたから。
当初、僕はクリープハイプをあんまり好きになれないでいた。
ボーカルは変わった声をしていて、なんだか危なっかしくて短気なヤツっていうイメージ。楽曲はいいなーって思えたけど、なんだかねーって感じだった。つまり、クリープハイプのボーカル、尾崎世界観のキャラクターが好きになれずにいたんだよね。
でも尾崎世界観の、あるツイートを見たことがキッカケで突然好きになってしまった。もうハッキリとは覚えてないんだけど、僕がたまたま見たそのツイートでは、弱音を吐いたり、繰り返し何度も何度もファンへの感謝の言葉を伝えてた。
CDが出る時はいつもこれで何か変わるかもしれないと思って何とも言えない気持ちになる。 後何回この気持ちになれるだろうか。 この歌を作って良かった。歌声でも泣き声でもどっちでも、なんでも良いからとにかく聴いて欲しい。 買ってくれた人も買ってくれようとしてくれる人も本当にありがとう。
— 尾崎世界観 (@ozakisekaikan) 2012年10月2日
昨日ようやく発表されました。 あたしの窓。 今回ちょっと異常な位色んな人が良かったと言ってくれて嬉しい。 いつも孤独な気持ちでバンドやって来て、またこれで救われた。 もう何回観ただろう。作らせてくれたスタッフ、作ってくれたスタッフ、役者の皆さん、監督。 ありがとう。
— 尾崎世界観 (@ozakisekaikan) 2013年1月31日
2日間ライブを終えて改めて今関わってくれているスタッフ全員が素晴らしいと思う。 色んな人達が陰で支えてくれていて、この先もずっと同じ人とやりたい。 チームとか簡単に言いたくないし、強烈な個性を持った1人1人と緊張感を持ってこれからも関わり続けたい。 本当にがんばろうと思える。
— 尾崎世界観 (@ozakisekaikan) 2012年11月25日
正直、え!?って思った。
なぜかというと、自分が尾崎世界観に対して持っていたイメージと全く違ってたから。
僕が持っていたイメージは、「キレたら何するか分からないアブないやつ」みたいな感じだった。もっとも、他人に感謝の言葉なんて伝えたりしなさそうだし、弱い部分なんて絶対見せないような、そんな感じだと、曲だけ聴いて勝手にそう思ってた。
でもたまたまTwitterを見たら、ファンや周りで支えてくれてる人達への感謝の言葉や、ライブ前にビビってる自分を奮い立たせる言葉とか、実は弱いのに強がってつっぱってるような言葉ばかりで、、、ほんとに驚いた。驚いたと同時に、妙な親近感が湧いた。
「ただのアブないやつだと思ってたけど、実は一生懸命つっぱってたんやな・・・」と。
その瞬間、尾崎世界観を見る目が変わってしまった。
表ではトゲトゲしく振る舞ってるけど、実はいいヤツで、気が弱くて。それなのに無理してつっぱってるという、人間味あふれる感じに好感を持った。そしてその後のROCKS TOKYOのステージでクリープハイプのライブを見て、完全にロックオン!されたという訳。
ステージに上がる前、実はすごく緊張してること。
ファンや周りの人に対して、とても感謝をしてること。
尾崎世界観のそんな意外な部分を知って、親近感をもった状態でライブを見たから一瞬でファンになってしまったんだよね。ライブではもちろんそんな弱気な部分など見せる訳も無く、元々持ってたイメージ通りのアブないやつって感じだったけど。
僕の感情が、この時すでに尾崎世界観に共感してたから。好きになれなかったクリープハイプが、他のバンドより断然カッコよく見えた。
君はこの話を聞いてどう思う?
これってTwitterの素晴らしい使い方だと思わない?
人間性(キャラクター)を正しく伝えられる凄さ
ここまでの話を聞いて恐らく君は、尾崎世界観が「ファンへの感謝の気持ち」とか「自分の弱い一面」をつぶやいたことが、新しいファンを獲得することにつながったのをなんとなく感じてもらえたんじゃないかと思う。
今回、僕は尾崎世界観のツイートを見て、「見た目通りのただの危ないヤツ」というイメージから、「見た目ではつっぱってるけど、実はいいヤツ」というイメージに変わった。
尾崎世界観の人間性というか、「どんな人間なのか?」っていう部分を正しく知ったことによって僕は尾崎世界観に感情移入することが出来るようになり、曲がより深く伝わるようになった。
つまり、人間性を正しく伝えることがファンを獲得することにつながるということなんだ。
考えてみて欲しいんだけど、君にも好きなアーティストっているよね?
その中でも特に、ずっと長い間好きなアーティストに対しては、「その人自体への」憧れや尊敬の気持ちが生まれていることが多いと思うけどどうだろうか?
恐らく、長い間ずっと好きなアーティストであればあるほど、曲や声がいいとか音がカッコいいとかだけじゃなく、その人や人間性を好きになっているはず。
これについては、前回の記事で書いたので参考にしてほしい。
今ではTwitterやFacebookでアーティストとファンが直接つながることが出来る。これってとても凄い事なんだ。
なぜなら、アーティストが自分の人間性を簡単にファンに伝えることが出来るのは、今の時代だからこその特権であって、これまではやりたくても出来なかったことなんだよね。
SNSが無い時代にはどうやって伝えていたのか?
では、Twitterが無かった時代には、どうやってアーティスト自身の人間性をお客さんに伝えていたのかというと、TVなどのメディアに出演するか、歌詞で伝えるのがメインだった。
ボーカルが何を考えてて、実はどんなやつなのかっていうのは、TVに出演出来るようなメジャーなアーティストでない限り、歌詞カードを見て歌詞を確認したり、ブログや雑誌のインタビューを読んだりしないとなかなか伝わらないものだったんだよね。
でもそれって、お客さんに伝わるまでにはだいぶ時間がかかる。
だって、歌詞カードを見たり、ブログや雑誌のインタビューを読んだりっていうのは、ある程度そのバンドに興味がないと普通はしないよね?
TVに出演しているのであれば、立ち振る舞いや話し方から、なんとなくどんな人なのか想像もできる。でもそれが無ければ、歌詞カードを見たりインタビュー記事を読んだりしない限り、正しい人間性は伝えることが出来ず、PVやアーティスト写真から受ける印象そのままのイメージになってしまうんだ。
今回のクリープハイプの件で言うと、僕がもし歌詞をちゃんと見ていたら、その時点である程度、尾崎世界観が「どんな人間なのか」を感じてたかもしれない。実際、歌詞には本人のキャラクターがしっかり出ているしね。でもそこまで興味がなかったから歌詞を見ようと思わなかった。
だから、PVとかアーティスト写真のイメージだけで尾崎世界観を「多分こんなヤツだろう」って勝手に想像してたんだよね。
もしかすると、僕はTwitterが無ければ、尾崎世界観の人間性に触れることもなく、興味のないバンドとして好きになることは無かったかもしれない。
つまり極論を言えば、Twitterのお陰で僕と僕の友人はクリープハイプを好きになったということなんだ。
名前は知っていて曲も聴いたことがあったのに、それでも興味が無かったバンド。それなのに、Twitterを見ただけでファンになったということが、どれだけすごいことか感じてもらえただろうか?
大事なのは何を伝えるか。拡散することに意味は無い
Twitterというのは、君も知ってる通りファンの間で拡散されたり、知らない人にアプローチ出来るという意味ですごいツールだよね。
「バンド Twitter 活用法」とかでググってみれば拡散の方法とか色々出てくるから、ここでわざわざTwitterのそういう使い方に関しては説明しないけど、、、
大事なのはTwitterで「何を伝えるか?」なんだよね。
それが分からないまま拡散しても、何の意味も無ければ、逆にバンドの印象を悪くしたり、ファンが離れる原因にもなる。要はファンの期待を裏切るようなツイートをしてしまったら、それも拡散されてしまう可能性があるということだね。
よくありがちなのが、ライブの予定とかばかりツイートしてるバンド。
バンドのオフィシャルTwitterとして、元々そういう情報だけ流すアカウントということでファンにフォローしてもらうのならいいけど、アーティスト個人のツイートでは正直やる必要ないよね。
では、Twitterで何を伝えるべきなのか?
Twitterで伝えるべきなのは、、何度も書いている通り「ボーカルの人間性が感じられる部分」。
それも、「自分達の曲を歌うにふさわしい人物像」を演出して伝えるべきなんだ。
演出するって言うと、自分をいつわってキャラクターを演じるのとカン違いされることがあるんだけど、それとは全く違う。
そして、「自分の人物像を演出する」という行為は、熱狂的なファンをつかむには必ず必要なことであり、メディアに出演してずっと長く生き残っている人は、ミュージシャンであっても芸能人であっても100%やっていることなんだ。
Twitterはスマホに入っている単なるアプリじゃなくて、たくさんの人にメッセージを届けられる立派なメディアだから、アーティストとして使うなら「自分の人物像を演出する」ことが必ず必要なんだよね。
続きは次回に…
「自分を演出すること」についてはすごく大事な話だから、また次回にしっかり説明しようと思う。今回は、Twitterでボーカルの人間性が伝えられることが、どれだけ凄い事なのかが分かってもらえたらそれでいい。
うまく使えるとTwitterはバンドの武器になるから、是非この機会に色々と考えてみて欲しいな。
次回は、演出についての説明と、実際どうやって自分を演出し人間性を伝えていくのか。その方法について触れたいと思うのでお楽しみに。
『自己プロデュースの意識を持ち、より伝わる音楽へ!』
それではまた会いましょう
⇒ バンドマンが絶対知っておくべきTwitterの使い方【後編】へ
コメント